小山用水・野木幹線
網戸に伝わる「十郎丸」伝説

鎌倉時代の初期、結城の領主結城朝光の四男、十郎丸は、幼少の頃から弓矢や馬術に優れていたが、あるとき、兄たちの腕前を馬鹿にしたことから、父朝光に勘当され、結城の城を追い出されてしまう。困った十郎丸は、当時結城領だった網戸に住む乳母夫婦を頼って乙女まで来たが、雨で増水した夜の思川を渡ることができなかった。と、そのとき、川下から一艘の小舟に乗った娘船頭が現れ、十郎丸を乗せ、対岸にある網戸の乳母夫婦のもとに届けてくれた。名前を尋ねようとして十郎丸が振り返ると、娘船頭は姿を消していた。
1年後、勘当を解かれた十郎丸は、元服して、十郎朝村と名乗るようになった。その後、網戸の領主となった彼は、あの夜、自分を救ってくれた娘船頭は、日頃から信仰している富士浅間神社の祭神コノハナサクヤヒメの化身に違いないと考え、この土地に富士浅間神社を祀った。



 

 

参考文献:小山市郷土文化研究会「小山の伝説」(平成4年 第一法規)

網戸・藤塚地内にある浅間神社 
現在の小字名は「藤塚」だが、戦前の陸地測量部の旧版地形図では、「富士塚」と記されている。